シフトスケジューリング問題を量子アニーリングで解決
- Yuichiro Minato
- 2024年12月9日
- 読了時間: 3分
今回のブログでは、シフトスケジューリング問題を量子アニーリングを活用して解決する方法をご紹介します。量子アニーリングは複雑な組み合わせ最適化問題を効率的に解決する手法で、PythonライブラリのTYTANを使って実装を行います。初心者の方にも分かりやすく、目的や課題を解説します!
1. シフトスケジューリング問題とは?
シフトスケジューリング問題は、必要な作業量(人数や工数)に対して、従業員を効率的に配置する問題です。この問題では以下のことを目指します:
必要な作業量を満たすために、適切な人数を割り当てる。
各従業員の希望を考慮し、シフトの満足度を高める。
2. 問題の設定
以下のような条件で問題を設定しました:
必要作業量6つの時間帯において、必要な人数が以下のように設定されています:
必要人数: [3, 3, 5, 5, 4, 4]
従業員のシフト希望10人の従業員が、各時間帯で働けるかどうかを次のような行列で表しました。
シフト希望表: [[2, 2, 2, 2, 0, 0], # 従業員0の希望 [0, 0, 0, 1, 1, 1], # 従業員1の希望 ... [0, 0, 1, 1, 1, 1]] # 従業員9の希望
値が大きいほど、その時間帯での従業員の希望度が高いことを意味します。
目的
必要人数を満たしつつ、シフト希望をできるだけ尊重する。
3. 使用するライブラリ:TYTAN
TYTANは、量子アニーリングをPythonで扱うためのライブラリです。このライブラリを使うと、複雑な最適化問題をQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)形式で定式化し、効率的に解くことができます。
4. コードの解説
以下に、実際のコードの重要な部分を解説します。
(1) 量子ビットの設定
従業員10人を量子ビットで表します。1人がシフトに入る場合、そのビットは1になります。
q = symbols_list([10], 'q{}')
(2) コスト条件の設定
全員がシフトに入ることは現実的ではありません。そのため、コスト条件を設定し、無駄な割り当てを減らします。
Hcost = 0
Hcost += (q[0] + q[1] + ... + q[9] - 0)**2
(3) 制約条件の設定
各時間帯の必要人数を満たすように制約条件を設定します。
Hconst = 0
for j in range(T):
Hconst += (sum(shift[i][j] * q[i] for i in range(N)) - req[j])**2
(4) 全体のハミルトニアンを定義
コスト条件と制約条件を合成し、問題全体を定式化します。
H = Hconst + 0.1 * Hcost
(5) サンプリング
TYTANのSASamplerを使い、最適な割り当てを探索します。
solver = sampler.SASampler()
result = solver.run(qubo)
(6) 結果の確認
サンプル結果を確認し、各従業員のシフト状況を出力します。
for r in result:
arr, subs = Auto_array(r[0]).get_ndarray('q{}_{}')
print(arr)
5. 結果の例
サンプル実行結果を確認してみましょう。
最適なシフト割り当て
従業員0: シフトに入らない
従業員1: 時間帯3, 4, 5に割り当て
従業員2: 時間帯1, 2に割り当て
...
各時間帯の割り当て状況
時間帯1: 必要人数3 -> 割り当て3人 (条件クリア)
時間帯2: 必要人数3 -> 割り当て3人 (条件クリア)
...
6. まとめ
今回のシフトスケジューリング問題では、量子アニーリングを使い効率的に従業員を割り当てる方法を紹介しました。この方法を応用すれば、実際の職場でも従業員の希望を尊重しつつ、必要な作業量を満たすスケジュールを作成できます。
TYTANライブラリは、こうした最適化問題を簡単に定式化し解決できる便利なツールです。初心者の方もぜひチャレンジしてみてください!
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