#36ジョブスケジューリング問題を解く
- Yuichiro Minato
- 2024年12月9日
- 読了時間: 3分
今回のブログでは、ジョブスケジューリング問題を量子コンピュータを活用して解決する方法を紹介します。この問題の目的、課題、使用するライブラリや手法を初心者の方にも分かりやすく解説します。
1. ジョブスケジューリング問題とは?
ジョブスケジューリング問題は、複数のタスクを複数の機械にどのように割り振るかを決める問題です。目指すのは、各機械に割り振られるタスク量をなるべく均等にすることです。
例えば、工場の生産ラインで、異なる処理能力を持つ複数の機械にさまざまな作業を割り振る必要がある場合、効率的なスケジューリングが求められます。
2. 今回の問題設定
今回の問題では、以下の条件を設定しました:
機械数: 5台
各機械の処理能力は [1, 1, 2, 2, 3] (1時間あたりの処理量)
タスク数: 36個
タスクごとの処理量は [1, 2, 3, ..., 36]
目的: 各機械の処理時間(タスク量 ÷ 処理能力)が均等になるようにタスクを割り振る。
3. 課題の解決方法
この問題を解くために、以下のポイントを考慮しました:
制約条件
各タスクは1台の機械で処理される必要がある。
コスト条件
各機械の処理時間が最小になるようにする。
4. 使用するライブラリ:TYTAN
今回の実装には、量子アニーリングを用いるPythonライブラリ TYTAN を使用します。TYTANは、量子アニーリングをシミュレーションし、QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)問題を解くための強力なツールです。
5. コードの解説
以下は、ジョブスケジューリング問題を解くためのコードの重要な部分です。
(1) 量子ビットの設定
タスクと機械を割り当てるために量子ビットを準備します。
q = symbols_list([T, M], 'q{}_q{}')
(2) 制約条件の定義
各タスクが1台の機械でのみ処理されることを表す制約条件です。
Hconst = 0
for t in range(T):
Hconst += (sum(q[t][m] for m in range(M)) - 1)**2
(3) コスト条件の定義
各機械の処理時間が短くなるように設定します。
Hcost = 0
for m in range(M):
Hcost += (sum(task[t] * q[t][m] for t in range(T)) - 0)**2 / machine_power[m]
(4) 制約条件とコスト条件を合成
H = Hconst + 0.0000001 * Hcost
(5) 結果の確認
最適なタスク割り振りを確認し、各機械の負荷を計算します。
for r in result[:10]:
arr, subs = Auto_array(r[0]).get_ndarray('q{}_{}')
for t in range(T):
for m in range(M):
if arr[t][m] == 1:
task_allocation[t] = m
6. 結果の例
以下は、サンプル実行の結果です。
タスク割り振りの例
タスク0 (処理量: 1) -> 機械3
タスク1 (処理量: 2) -> 機械4
タスク2 (処理量: 3) -> 機械0
...
各機械の負荷
機械0: 負荷 = 16.0時間
機械1: 負荷 = 18.0時間
機械2: 負荷 = 15.5時間
...
7. まとめ
今回のジョブスケジューリング問題では、量子アニーリングを使い効率的にタスクを機械に割り振る方法を紹介しました。量子コンピュータを活用することで、複雑な組み合わせ最適化問題を解決する可能性が広がります。
TYTANライブラリは、初学者にも使いやすいツールであり、実際の問題に応用可能です。ぜひ、このコードを参考に、皆さんも量子アニーリングを活用した最適化問題に挑戦してみてください!
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